高座渋谷ポポの木整骨院 院長 大岡 統(柔道整復師・あんまマッサージ指圧師)
はじめに|こんな方へ
長く座っていると腰が重い、立ち上がるときに股関節のあたりがこわばる、お尻まわりが硬い気がする。そんな方に向けて、骨盤まわり(股関節・お尻・太もも)をやさしく動かすセルフケアを4つご紹介します。
無理に伸ばすのではなく、体に合うものを選び、痛みの出ない範囲で行ってください。腰痛のタイプに合わせた方法を知りたい方は、腰痛ストレッチの総合ガイドもご覧ください。
まず確認してください|こんな症状があるときは医療機関へ
脚に急に力が入らなくなった、股のまわりやお尻の感覚が鈍い、尿が出にくい・尿や便をもらすといった症状がある場合は、ストレッチをせず、速やかに救急医療機関へ相談してください。
発熱を伴う痛み、転倒や事故のあとの強い痛み、安静時や夜間にも続く強い痛みがある場合も、自己判断で続けず、早めに整形外科などを受診してください。運動中にしびれや痛みが脚へ広がる場合は、その種目を中止してください。
「骨盤が歪んでいる」と言われて不安な方へ

「骨盤が歪んでいるから腰が痛い」と説明されると、不安になるかもしれません。しかし、骨盤の左右差だけで痛みの原因を決めることはできません。腹部CTを受けた323人を調べた研究でも、骨盤の形状の左右差が報告されています。この研究だけで、左右差が腰痛の原因だとは判断できません。
ストレッチは骨を動かして「歪みを治す」ためではなく、骨盤を支える筋肉や股関節を無理なく動かすために行います。痛みの場所、動きやすさ、日常生活での負担などを合わせて考えることが大切です。


なぜ長く座ると骨盤・股関節がこわばるのか
長時間座っていると、股関節を曲げた姿勢が続き、立ち上がったときに付け根や腰のこわばりを感じることがあります。座位時間・身体活動量と股関節の伸展可動域の関係を調べた研究では、活動量が多く座位時間が短い人ほど、股関節を後ろに伸ばす可動域が大きい傾向が見られました。ただし、座ることが直接の原因だと証明した研究ではありません。
当院でも、タクシードライバーの方のように座って過ごす時間が長い方から、股関節まわりのこわばりについて相談を受けます。体の状態には個人差がありますので、合う動きを少しずつ試しましょう。
ストレッチを行う前に|3つの注意
1.腰を反らせて伸ばさない
太ももの付け根を伸ばすときは、腰を大きく反らさないようにします。腰に詰まる感じや痛みが出る場合は、動きを小さくするか中止してください。
2.痛みを我慢して強く伸ばさない
反動をつけたり、手で強く押したりしないでください。軽く伸びる感覚にとどめ、呼吸を止めずに行います。
3.合わない種目を続けない
お尻や脚の痛みにはさまざまな原因があります。「硬いから伸ばせばよい」と決めつけず、痛み・しびれが出る動きや、翌日に症状が増える動きは避けてください。
骨盤まわりのストレッチ4選
いずれも痛みの出ない範囲で行います。20〜30秒は目安であり、つらければ短い時間で構いません。息を止めず、まずは1〜2種目から試してください。
1.お尻のストレッチ
仰向けに寝て両膝を立てます。片方の足首を反対の膝の上にのせ、数字の「4」のような形をつくります。下側の太ももを両手で抱え、ゆっくり胸のほうへ引き寄せます。お尻が軽く伸びるところで20〜30秒ほど保ち、左右を同じように行います。
伸ばす部位:お尻まわり。
避けたいこと:反動をつける、膝を強く押す、痛みを我慢して引く。お尻から脚へしびれや痛みが広がる場合は中止してください。
2.内もも・股関節のストレッチ

床に座り、両足の裏を合わせて膝を外側に開きます。背すじを軽く伸ばし、股関節から上体をゆっくり前に倒します。内ももが軽く伸びるところで20〜30秒ほど保ちます。前に倒れなくても、足を合わせた姿勢で無理なく保てれば構いません。
伸ばす部位:内もも、股関節まわり。
避けたいこと:背中を強く丸めて頭だけ下げる、膝を手で強く押し下げる。
3.太ももの付け根(腸腰筋まわり)のストレッチ
床で片膝立ちになり、前の足を床につけます。後ろの膝の下にはタオルなどを敷いてください。おへそを軽く引き込むイメージで骨盤を少し後ろに傾け、腰を反らさずに体ごとゆっくり前へ移動します。後ろ脚の付け根が軽く伸びるところで20〜30秒ほど保ち、左右を行います。
伸ばす部位:後ろ脚の太ももの付け根。
避けたいこと:腰を反らせて前に出る、腰に詰まる感じが出るところまで進む。膝が痛む場合や姿勢が不安定な場合は、無理に行わないでください。
4.椅子で骨盤ゆらゆら
椅子に浅く腰かけ、両足を肩幅程度に開いて床につけます。骨盤をゆっくり前と後ろへ交互に傾けます。前に傾けるときは腰を反りすぎず、後ろに傾けるときは背中を少し丸める程度にとどめます。痛みのない小さな動きで、10回ほど行います。
動かす部位:骨盤・腰まわり。
避けたいこと:勢いをつけて大きく動かす、痛みのある範囲まで動かす。座りっぱなしの合間に、無理なく動くきっかけとして取り入れてください。
頻度と続け方|翌日の状態も確認しましょう

たくさん行うほど効果が高まるわけではありません。まずは短い時間で1〜2種目を試し、運動中と翌日の状態を確認してください。痛みが出ず、翌日に症状が増えなければ、無理のない頻度で続けましょう。
椅子での軽い骨盤運動も、毎日行うことを目標に無理をする必要はありません。お尻や内もものストレッチも、回数より体への負担を優先します。痛む範囲が広がる、しびれが増える、翌朝につらさが残る場合は中止し、症状が続く場合は医療機関へ相談してください。
座っているときは、足裏が床につく高さに椅子を調整し、背もたれも使いながら楽な姿勢を探しましょう。同じ姿勢が長く続く場合は、作業の区切りに立ったり、少し歩いたりしてください。無理に背すじを伸ばし続ける必要はありません。
セルフケアで変化がないときは
ストレッチで楽になる方もいますが、すべての腰痛に同じ方法が合うわけではありません。数週間続けても変化がない、痛みで日常生活に支障がある、動かせる範囲が狭いと感じる場合は、原因や体の状態を確認することが大切です。左右差があることだけで、施術が必要だと判断することはできません。
当院では、症状や動きを確認したうえで、セルフケアや施術についてご案内しています。施術内容は骨盤矯正の施術ページ、腰痛については腰痛の症状・施術ページをご覧ください。
産後の骨盤まわりが気になる方へ
産後は、出産方法や回復の状態によって適切な運動が異なります。一般的なストレッチをそのまま行うのではなく、産後の健診や医療職の助言をもとに、無理なく再開してください。尿もれや骨盤まわりの痛みがある場合は、産婦人科などへ相談しましょう。
骨盤底筋の運動なども、症状に合わせて取り入れることが大切です。産後骨盤矯正・産後ケアのページで当院の対応をご案内しています。
写真で確認|動きによって目的が異なります
以下の写真は、前屈・ひねり・膝抱え・筋力運動の例です。上で紹介した4種目とは異なります。写真の形に無理に近づける必要はなく、痛みが出る動きをまねしないでください。




よくある質問
骨盤まわりのストレッチは毎日してもよいですか?
痛みが出ず、翌日にも症状が増えなければ、軽い動きを日常に取り入れることはできます。ただし、毎日必ず行う必要はありません。体調に合わせて時間や頻度を調整してください。
どれくらい続ければ効果がわかりますか?
変化の出方には個人差があり、一定の期間で腰痛が改善するとは言い切れません。まずは動きやすさと翌日の状態を確認してください。痛みが続く場合や悪化する場合は、効果を待って無理に続けず、医療機関へ相談しましょう。
ストレッチで骨盤の歪みは治りますか?
ストレッチで骨の位置を矯正できるとは言えません。骨盤まわりの筋肉や股関節を無理なく動かすセルフケアとして考えてください。左右差だけで痛みの原因を判断しないことも大切です。
むくみにも効果がありますか?
このストレッチによるむくみへの効果は断定できません。片脚だけ急に腫れる、痛みや熱感がある場合は、早めに医療機関へ相談してください。息苦しさや胸の痛みを伴う場合は、速やかに救急医療へ相談してください。
関連するセルフケア・施術
腰痛ストレッチの総合ガイド:腰痛に合わせたセルフケアを確認したい方へ。
骨盤矯正の施術:体の状態を確認し、施術について相談したい方へ。
産後骨盤矯正・産後ケア:産後の回復や体の悩みについて相談したい方へ。
ぽっこりお腹や下半身の見た目が気になる方は、骨盤矯正で下半身痩せは可能?自宅でできるストレッチと効果をご覧ください。姿勢と体脂肪を分けて、運動や食事との関係を解説しています。
参考資料
Prolonged sitting and physical inactivity are associated with limited hip extension: A cross-sectional study(座位時間・身体活動量と股関節伸展可動域の関連)
Pelvic bone asymmetry in 323 study participants receiving abdominal CT scans(腹部CTで評価した骨盤の形状の左右差)
NHS:Back pain(腰痛のセルフケアと受診が必要な症状)
NHS:Your post-pregnancy body(産後の体の回復と運動)
WHO:慢性一次性腰痛の非手術的管理に関するガイドライン(慢性腰痛に対する教育・運動などの個別的な管理)

