「やってはいけないことって、ありますか?」
坐骨神経痛で来られた方から、最初によく聞かれる質問です。お尻から脚へのしびれ、座っても立ってもつらい痛み。少しでも悪くしたくないからこそ、何を避ければいいのか知りたい。その気持ち、よく分かります。
当院には坐骨神経痛の方が月に25人ほど来られますが、そのうち月に3人ほどは、良くしようとした自己流のストレッチやマッサージで、しびれが強まってから来られた方です(当院の来院記録による、おおよその数)。だから私は、施術の前に、まず「これだけは避けてください」とお伝えしています。
この記事では、私が来院された方にお伝えしている7つのことを、理由と一緒にお話しします。
院長が最初にお伝えしている7つ
- 重い物を、前かがみ・腰をひねったまま持たない
- 同じ姿勢を長く続けない(でも、寝込みすぎもしない)
- 合わない靴、ヒールの高い靴で長く歩かない
- 座るとつらいタイプの方は、自転車に長く乗らない
- 朝つらいなら、寝具と冷えを見直す
- 体重を増やしすぎない
- しびれを我慢して、強いストレッチや急な運動をしない
両脚のしびれ、脚に力が入らない、尿や便の異常があるときは、この記事より先に医療機関へ。
坐骨神経痛とは?

ではまず、坐骨神経痛とはそもそもどういったものなのでしょうか?
坐骨神経痛とは、坐骨神経が圧迫されることによって生じる痛みやしびれのことです。坐骨神経は人体で最も太く長い神経であり、腰から足の先まで伸びています。この神経が圧迫されると、腰痛や足の痛み、しびれ、感覚異常が起こります。
主な症状としては、腰からお尻、太もも、ふくらはぎにかけての痛みやしびれがあり、特に片側の足に集中することが多いです。立ち上がる、歩く、座るといった日常動作に支障が出ることもよくあります。症状の程度は軽いものから重いものまで様々で、悪化すると日常生活に大きく影響してきます。
坐骨神経痛は単なる腰痛とは異なり、原因や症状の出方にも違いがあります。だからこそ、正しく理解して、適切に対処することが大切になります。
長く座るとつらい方は坐骨神経痛を楽にする座り方、寝るときにつらい方は坐骨神経痛の寝方、腰痛と足のしびれの原因を整理したい方は腰痛と足のしびれの記事も参考にしてください。
ちなみに少し前までは「坐骨神経痛には安静が一番」と考えられていました。ですが近年の整形外科領域の考え方では、痛みが強い時期であっても長い間じっと寝て安静にし続けること(完全な臥床)は、かえって回復を遅らせてしまう可能性があるとされています。痛みの許す範囲で体を動かし、日常の活動を続けることが望ましい、というのが今の基本的な考え方です。実は「動かさないこと」こそが、避けたいことの一つなんですね。(参考:日本整形外科学会「腰痛」)
坐骨神経痛の原因
坐骨神経痛の主な原因は、
・椎間板ヘルニア
・脊柱管狭窄症
・腰椎すべり症
・梨状筋周辺の問題
などです。これらの疾患や状態があると、坐骨神経や腰から脚へ向かう神経が圧迫・刺激され、しびれや痛みにつながることがあります。
椎間板ヘルニアは、椎間板が突出して神経を圧迫する状態です。特に腰椎の椎間板ヘルニアは坐骨神経痛の代表的な原因の一つで、飛び出した椎間板が神経を圧迫することで痛みやしびれが生じます。
脊柱管狭窄症は、神経の通り道である脊柱管が狭くなって神経を圧迫する状態です。加齢による変性や背骨の変形などが原因で起こり、坐骨神経痛を引き起こします。
腰椎すべり症は、腰椎が前後にずれることで神経の通り道が狭くなり、痛みやしびれにつながることがあります。
お尻の深いところにある梨状筋の周辺で坐骨神経が刺激され、痛みやしびれが出ることもあります。
このほかにも、骨棘(骨の出っぱり)、お尻の筋肉(梨状筋)のこわばりや炎症、外傷などが原因になることもあります。坐骨神経痛の発症には色々な要因が関わっているので、それぞれの原因に合った対処が大切です。
坐骨神経痛と間違えやすいもの
坐骨神経痛と間違えやすいものとしては、腰椎椎間関節症や股関節症などが挙げられます。これらは症状が似ているため、紛らわしいことがあります。
腰椎椎間関節症は、腰椎の関節が変形して痛みを引き起こす状態です。腰やお尻、太ももの痛みが特徴で、坐骨神経痛と似た出方をすることがあります。
股関節症は、股関節の軟骨がすり減って痛みを引き起こす状態です。股関節まわりの痛みやしびれが特徴で、こちらも坐骨神経痛と紛らわしいことがあります。
いずれも症状が重なるため、自己判断だけで決めつけず、必要に応じてMRIやCTなどの画像検査を受けて、正確に見極めてもらうことが大切です。
院長が伝えている、坐骨神経痛でやってはいけないこと7つ
ここからは、来院された方に私が実際にお伝えしていることを、ひとつずつお話しします。
【坐骨神経痛でやってはいけないこと①重いものを持つ】
重い物を持つお仕事の方には、私はまず「しばらくは、一人で無理に持たないでください」とお伝えしています。坐骨神経痛がある状態で無理な動作をしたり重い物を持ったりすると、背骨や腰椎に負担がかかり、神経をさらに圧迫して症状を悪化させる原因になります。
特に前かがみや腰をひねる動作は避けたいところです。激しい動きや、ぐっと力を入れる動作も控えましょう。こうした動きは椎間板ヘルニアやすべり症を招く可能性もあるので、油断は禁物です。
どうしても重い物を持ち上げる必要があるときは、正しい体勢で持つか、無理せず人に手伝ってもらいましょう。コツは、腰を曲げるのではなく、膝を曲げて持ち上げることです。
【坐骨神経痛でやってはいけないこと②長時間同じ姿勢を続ける】
デスクワークや運転の多い方には、「1時間に一度は立ち上がりましょう」とお伝えしています。長時間ずっと同じ姿勢でいることも、坐骨神経に負担をかけます。特に硬い椅子に長く座りっぱなしでいることや、立ちっぱなしでいることは避けたいですね。
ただし、ここで注意してほしいのは、これは「じっと安静にしているのがいい」という意味ではない、ということです。長時間同じ姿勢を続けるのも、痛みが怖くてまったく動かないのも、どちらも体には負担になります。先ほどお伝えしたとおり、痛みの許す範囲で、歩いたり軽い家事をしたりと、ほどよく体を動かすことが望ましいとされています。
目安としては、デスクワークの方なら1時間ごとに立ち上がって、軽く伸びをするくらいでも違ってきます。
寝るときの姿勢も意外と大事です。仰向けで寝るときは、腰が反りすぎないように、膝の下にクッションや枕を入れて工夫してみてください。
腰痛で仰向けに寝ると痛い方へ
仰向けで寝ると腰が痛むという方は、横向きで寝てみるのもおすすめです。
【坐骨神経痛でやってはいけないこと③合わない靴やヒールの高い靴を履く】
立ち仕事や通勤で長く歩く方には、どんな靴を履いているかもうかがいます。足に合わない靴やヒールの高い靴は、腰や足に余計な負担をかけ、坐骨神経痛を悪化させてしまうことがあります。特に日常的によく動く方は、履き心地のいい靴を選んで、足への負担を減らしてあげましょう。
【坐骨神経痛でやってはいけないこと④座るとつらいタイプの方の、自転車の乗りすぎ】
自転車に乗る方には、乗っている時間と、そのあとの痛み方をうかがうようにしています。自転車は前かがみで座り続ける乗り物なので、長く座るとお尻や脚がつらくなるタイプの方には負担になりやすいからです。使う場合は短時間にとどめ、サドルの高さや姿勢も見直してみてください。
一方で、歩くとつらく、前かがみで楽になるタイプ(脊柱管狭窄症が関わる方)は、「歩くのはつらいけれど、自転車なら平気」ということもあります。同じ自転車でも、タイプによって合う・合わないが分かれるので、乗ったあとに痛みやしびれが強くならないかを目安にしてください。
【坐骨神経痛でやってはいけないこと⑤マットレスや冷えに気をつける】
「朝起きたときがいちばんつらい」という方には、寝具と寝方をうかがいます。柔らかすぎるマットレスは腰が沈み込み、寝返りがしにくくなることがあります。腰痛では中程度の硬さのマットレスが一つの目安とされています。ただし、実際に寝て起きたときの痛みやしびれが改善されない場合は、その硬さや寝方が合っているか再検討した方がよいでしょう。ベッドで仰向けになると腰がつらいという方は、横向きで寝るのもおすすめです。
また、冷えで症状がつらく感じる方もいますが、冷えそのものを坐骨神経痛の原因と決めつけることはできません。寒さや冷房で不快感が強くなる場合は、ブランケットや薄手の上着などを使い、冷やしすぎないように調整しましょう。
【坐骨神経痛でやってはいけないこと⑥体重の増えすぎ】
体重のことは言いにくいものですが、私は無理な食事制限ではなく、まず歩くことから一緒に考えるようにしています。体重が増えると腰に大きな負担がかかり、坐骨神経痛の症状が悪化することがあります。食べすぎや運動不足を避け、必要に応じて医師などに相談しながら、食事量や運動量を調整していきましょう。バランスのいい食事と適度な運動を心がけることで、体重を適正に保ちやすくなります。
【坐骨神経痛でやってはいけないこと⑦無理な運動・急な運動の再開】
適度に体を動かすことは大切ですが、だからといって無理な運動や過度なストレッチをするのは逆効果です。ここは少しややこしいのですが、「動くこと」と「無理をすること」は別もの、と考えてください。体を動かすこと自体は推奨されますが、痛みが強い時期に自己流で強いストレッチをするのは避けたいところです。目安は、ストレッチのあとにしびれが足先へ広がっていないかどうか。広がるなら、その動きは今の時期には合っていません。始める時期と、動かしながら伸ばすやり方は「坐骨神経痛のストレッチ、いつからやっていい?」でお話ししています。
実際、当院に来られる前に自己流で無理なストレッチを行ったことが原因で、症状が悪化して歩行が困難になり、来院されたケースもありました。また、急に運動を再開した結果、坐骨神経を傷めてしまい、痛みが増して数週間の休養が必要になった、という方もいらっしゃいます。
痛みが強い時期は特に、過度な運動は避けて、どの運動が自分に合っているかは専門家に相談しながら進めるのが安心です。理学療法士や整骨院の施術者の指導を受けることで、安全で効果的なストレッチを行うことができます。
坐骨神経痛でやってはいけない運動と、おすすめの運動について
こちらも別のブログで詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
テニスボールでお尻の痛みを和らげる方法
坐骨神経痛でお尻のあたりに痛みを感じる場合は、テニスボールを使ったセルフマッサージを取り入れていただくこともあります。
テニスボールをお尻や背中の痛むところに当てて、じんわり圧をかけることで、筋肉のこわばりをほぐし、痛みやしびれをやわらげる方に取り入れていただくことがあります。
詳しい使い方を知りたい方は、以下のブログを参考にしてみてください。
坐骨神経痛の予防と対処
坐骨神経痛への対処には、医療機関での対処と、自宅でできるケアの両方が役立ちます。ここでは代表的なものを紹介します。
医療機関でできること
薬物療法: 痛みや炎症を抑えるために、鎮痛剤や抗炎症薬が処方されることがあります。副作用のリスクもあるため、必ず医師の指導のもとで使用します。
理学療法: 理学療法士によるストレッチや筋力トレーニングの指導です。痛みをやわらげ、筋力を保つのに役立ちます。
神経ブロック注射: 神経の痛みを抑えるために行われることがあります。
装具療法: コルセットなどで腰をサポートし、負担を減らします。
自宅でのケア
適度な運動: 痛みが落ち着いてきたら、ウォーキングやストレッチなどの軽い運動で筋力を保ちましょう。
姿勢の見直し: 日常の座り方や立ち方を意識することが、予防にも改善にもつながります。
温めるケア: 温かいお風呂やホットパックで筋肉をほぐし、血流を促してあげると効果的です。
予防のために
体重管理: 適正体重を保つことが、腰や坐骨神経への負担を減らします。
筋力づくり: 腹筋や背筋を無理のない範囲で鍛えると、腰椎が安定しやすくなります。
姿勢と動作の工夫: 日常の姿勢や動作を見直して、腰に負担をかけないようにしていきましょう。
当院では、腰・骨盤・股関節の動きや神経症状を確認し、状態に合わせて深部整体や運動療法を組み合わせていきます。

お尻や脚のつらさに、骨盤から離れた足元が関係している可能性があります。
坐骨神経痛では、お尻や脚に症状が出ていても、足首の動きの硬さや、膝が内側に入るクセ、骨盤の傾きが重なって負担につながっている場合があります。当院ではこれらを足首・膝・骨盤の三角形としてとらえて確認することがありますが、院内で確認した傾向であり、すべての方に当てはまるものではありません。
【重要】こんなときは、すぐに医療機関へ
最後に、これだけは覚えておいてほしいことをお伝えします。
次のような症状があるときは、セルフケアを続けずに、すぐ医療機関を受診してください。安静にしていても痛みがやわらがない、しだいに悪化していく、発熱をともなう、両脚に広がる・悪化するしびれや脱力がある、お尻や股のまわり(座ったときに触れる部分)の感覚が鈍い、尿や便のコントロールがうまくいかない——こうしたサインは、放置したり自分で何とかしようとせず、すみやかに整形外科などを受診することが大切です。(参考:日本整形外科学会「腰痛」)
まとめ

いかがだったでしょうか?
坐骨神経痛は、とても身近な症状だからこそ、つい見逃されがちです。放置してしまうと治りにくくなることもあるので、できるだけ早めに対応してあげることが大切です。
そして今回お伝えしたように、「安静にしすぎないこと」も、実は大事なポイントの一つです。痛みと相談しながら、無理のない範囲で体を動かしていきましょう。
高座渋谷ポポの木整骨院では、施術だけでなく、生活指導や運動指導も行っており、皆様がより快適に過ごせるようサポートしています。
もし何かご不明な点があったり、なかなか治らない症状でお悩みだったりする方は、ぜひ一度、当院へご相談ください。
坐骨神経痛の症状・原因・やってはいけないこと・自分でできることを、ひとつにまとめています。→坐骨神経痛とは?どこが痛い・原因・やってはいけないことまで、整骨院の院長がまとめて解説
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